においが呼び覚ます記憶と感情

稲を刈り取った田んぼのにおい、古い建物のにおい、電車の中でどこからか流れてくる香水のにおい…毎日の生活の中で、多くの生物たちはたくさんのにおいに触れています。
もちろん人間も…
そして、ある特定のにおいを嗅いだときに、ある特定の場所、物、人…など、そのにおいに関連付いた記憶や感情を突然思い出すことがあります。
好きだった場所のこと、好きだった人のこと、逆に嫌いな場所や人のこと…嗅覚から得た情報は他の五感からの情報と違って、直接大脳に届けられて処理されるそうです。

こんにちは。アズワンの高木です。

ドッグトレーニング アズワン(Dog Training asone) 埼玉県草加市周辺・東京都足立区周辺の犬のしつけ(出張トレーニング)・しつけ教室(グループレッスン)・ペットシッター(犬の散歩代行等) ~飼い主さんと愛犬の『絆作り』をお手伝いさせていただきます~ ※シュナウザー

人が嗅覚から得たにおいの情報を処理するのは、脳の大脳辺縁系という部分になります。
その大脳辺縁系という場所では、記憶の情報処理や原始的且つ本能的な情動のコントロールも同時に行っています。
そのため、特定の匂いを体内に取り込んだ時、人は特定の記憶や感情を突然呼び覚まされることがあるのだと言われています。
においの刺激は記憶や感情と直接紐付いているので、他の刺激より記憶や感情を喚起する力が強いのです。

この特定のにおいを取り込んだときに特定の記憶や感情が蘇る現象は、プルースト現象(プルースト効果)と呼ばれています。
作家のマルセル・プルーストという方が書いた小説の中に、主人公がマドレーヌを紅茶に浸したときにその香りをトリガーとして幼年時代の記憶を鮮明に思い出す…という描写あるそうで、それがこの現象をプルースト現象と呼ぶ由来になっているそうです。

このプルースト現象、我々人間には当たり前のように起きる現象ですが、他の哺乳類でも起きる現象なのでしょうか?
嗅細胞が人間の50倍あって、においを立体的に捉えることができる犬の場合は…

そのような研究が実際に行われているのかどうかはわからない(インターネット上では犬のプルースト現象に関する文献は見つけられず…)のですが、きっと犬にも人間と同じようにプルースト現象は起きるのではないか…そう考えています。
つい最近のことですが、実際にそう感じる瞬間にも立ち会いました。

例えば、ある犬の飼い主さんが、いつも同じにおいのハンドソープを使っていたとします。
そのにおいをパピーの頃から嗅いでいた犬は、そのハンドソープのにおいと飼い主さんを関連付けして、尚且つそのにおいに肯定的なイメージを持つことになります。
そして、その犬が成長した数年後、たとえ飼い主さんがいない時、いない場所であっても、そのハンドソープのにおいを嗅ぐと肯定的な思い出に脳が反応して、幸福感や安心感を得ることが得ることができる…そう思うのです。

ドッグトレーニング アズワン(Dog Training asone) 埼玉県草加市周辺・東京都足立区周辺の犬のしつけ(出張トレーニング)・しつけ教室(グループレッスン)・ペットシッター(犬の散歩代行等) ~飼い主さんと愛犬の『絆作り』をお手伝いさせていただきます~ ※シュナウザー&ジャックラッセルテリア

でも、その逆のケースも考えられます。
人間にもあると言われる逆プルースト現象です。
要するに、ある特定のにおいが嫌な記憶と結びついている…というケースです。
例えば…ある犬が、酒臭い人にいつもいつも叩かれていたとします。
そうすると、犬はきっと酒のにおいと叩く人を関連付けして、更に叩かれるという刺激をそこに紐付けして学習していきます。
要するに、酒のにおいに対して否定的なイメージを持つ…ということです。
その人がいなくても、酒のにおいを嗅ぐと叩いた人と叩かれた記憶が呼び起こされて、否定的な思い出に脳が反応…不安や恐怖を感じるようになる…という具合です。
酒のにおいを嗅ぐだけなら、その犬は嫌な記憶を思い出すだけで、それ以上のことは何も起きないかもしれません。
でも、もしそこに人の手が出てきたら…叩かれた記憶がフラッシュバックして、身を守るためにその手に噛み付くかもしれません。
たとえそれが好きな人の手であったとしても…です。
犬の反応(行動)は、刺激の加算によって起きると言われています。
酒のにおいと人の手、それぞれの刺激が別々に出てきた場合には犬は反応しなかったとしても、同時にその二つの刺激が提示された場合、犬は噛んだり吠えたりするのです。

人間の場合、目を使って目に見えるもので物事を判断することがほとんどです。
しかし、犬の場合、目ではなく鼻を使って、においで物事を判断することが多いのではないかと思います。
犬にとってのにおいは、物事を判断するためのもっとも重要なファクターであると考えられます。

においは目には見えないものです。
人間は目に映るものに注意を奪われがちですが、犬と接するときは、目に見えるもの以上ににおいに注意を払う必要があるのではないかと思うのです。
犬の集中を取ろうとして鼻先におやつを出してみても、それが魅力的なにおいでなければ犬は動きません。
もしかすると、他のにおいによっておやつのにおいがオーバーライドされてしまっているのかもしれません。
目に見えないものだけに、人がにおいを自在に扱うことはのは非常に難しいことだと思います。

でも、このにおいをうまく使えば、効果的に犬のトレーニングを行うことができるのではないかとも思うのです。
子犬のうちから特定のにおいと好きな事を関連付けておけば、そのにおいを嗅がせて犬の気持ちを落ち着いた状態にしてあげることができるかもしれません。
トレーニングの前にそのにおいを嗅がせれば、落ち着いた状態でトレーニングに入ることもできます。

また、成犬の問題行動…特にレアなケースの場合、においにフォーカスを合わせるとその問題行動の解決の糸口を見つけることができるかもしれません。
目に見える刺激だけでなく、においの刺激が絡んでその行動が起きているとか…そういったことも考えられると思います。
実際に、今回僕が立ち会ったケースでは、その犬の行動にはにおいによる刺激が重要な要素として関係していました。
なかなか再現せずにずっと見つけられなかったスイッチを、やっと見つけることができたのです。
今回は偶然でしたが、こういったケースもあるんだな…という良い勉強になりました。

いくら視点を変えてもその原因を掴めない場合、目ではなく鼻を使うとその原因が見えてくるかもしれません。

asone : j.takagi

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