とにかく無視してみてください【ao-tr-1401】

犬の行動は、刺激に対する反応によって形成されます。
そのため、どんな刺激が起きるのかによって、犬の行動は大きく変わります。
人が慌てふためけば犬は興奮し、人が無反応なら犬は落ち着いた状態を保ち続けます。
成犬になる前の若い犬には、特にその傾向が顕著に現れます。

こんにちは。
アズワンの高木です。

つい先日の柴犬ニハチくんの記事で、「柴犬のレッスン依頼が全然なくて…」と書いたのですが、なんとまたまた柴犬のレッスン依頼を頂きました。
今までゼロだった柴犬のレッスン、ご依頼を立て続けに頂けるなんてとても嬉しいです。

今日から飼い主さんと一緒にレッスンしてくれることになった生後三ヶ月の柴犬『レアちゃん』です。
もしかすると、ニハチくんが潜在意識でレアちゃんをアズワンへ連れてきてくれたのかもしれませんね。

明るくて人が大好きなレアちゃん、元気でとてもよい子です。
でも、飼い主さんは元気なレアちゃんの甘噛みと要求吠えにお困りとのことでした。
甘噛みと要求吠えは、レアちゃんの月齢の犬には多く見られる行動です。
これらの行動は、子犬と生活を始めたばかりの飼い主さんを悩ませるものですが、子犬の時期であれば簡単なトレーニングで消し去ることが可能です。
トレーニングというよりは、遊びながら遊びのルールを形作っていく…と表現したほうが正しいかもしれません。

きっと多くの方がご存知のことだと思いますが、甘噛みと要求吠えは無視だけで無くすことができます。
難しいトレーニングを行う必要はありません。
ただ只管に、その犬の行動を無視すれば良いのです。
群れで生活するイヌ科の動物は、仲間に無視されることを何よりも恐れます。
犬にとって仲間から受ける無視という仕打ちは、死に直結します。
無視をされるということは、群れの中で食料も分け与えてもらえなくなるわけですから、これは犬にとって死活問題となるわけです。
また、犬は良い結果が伴わない行動を延々と繰り返すことはありません。
良い結果が出なければ、その行動は徐々に消えていきます。
甘噛みや要求吠えが得な事なのか損な事なのか、犬がどう認識するかは、飼い主さんのちょっとした対応の違いで大きく変わるのです。

「犬を無視するといっても、飛び掛ってくるし噛んでくるし勝手にいたずらを始めるし、無理無理！」
犬の甘噛みや要求吠えに対して無視をお願いすると、こんなことを仰る飼い主さんがかなりいらっしゃいます。
11年前、エマのしつけでお世話になっていたトレーナーさんに「エマちゃんが噛んだら無視してください」と言われ、僕もまったく同じ事を思いました。
甘噛みする犬を無視するなんて無理ではないかと…
でも、できるのです。
犬を無視できる環境をしっかりと作れば、確実に犬を無視することができるのです。

パピーとは言えども、広いフィールドと自由にいたずらできるアイテムを与えてしまったら人間は犬に敵いません。
スリッパを加えて楽しそうに逃げ回る子犬を必死になって追い掛ける仕事に追われることになります。
それを避けるために、犬と遊ぶためのフィールドを作ります。

リビングの一部をサークルで仕切って、犬と一緒に遊ぶプレイルームにしてしまいます。
この即席プレイルームの中で犬と一緒に遊ぶようにすれば、犬が甘噛みや要求吠えをしたときに無視することが簡単になります。
犬が甘噛みや要求吠えをしたら、一緒に遊んでいた飼い主さんはプレイルームの外に出てしまえば良いのです。
そうすれば、簡単に犬を無視することができます。
飼い主さんがサークルの外に出るときは、中におもちゃやいたずらできそうなものを残さないことも大切です。
それによって、無視している最中に犬が勝手に遊びを始めることを抑止できます。

プレイルームの中にハウスやトイレを設置しておけば、ハウストレーニングやトイレトレーニングも遊びと平行して行うことができます。