今回の記事は前回の続き、フィービーちゃん三回目のデイ預かりの話題です。
今回のデイ預かりで、フィービーちゃんとエマが一緒に行った散歩での二頭の行動についてお話したいと思います。
犬には、人間や他の犬の行動を見て、それを真似(模倣)する学習能力があると言われています。
その犬には直接何も教えていないのに、同居している先住犬の行動を見てトイレシートの上で排泄することやオスワリやフセを覚えてしまう…というものです。
毎日飼い主さんと同じベッドで寝ている犬が、布団の中に入って頭を枕に乗せて眠るといった行動も、犬の模倣能力によるものかもしれません。
犬の多頭飼育をしている飼い主さんから、そのような犬の模倣行動があるというお話を聞くことがあります。
たくさんの飼い主さんからいろいろなケースのお話を聞かせていただくのですが、犬と犬の間で起こる模倣行動については、ある程度年齢が離れた犬同士の間で起きることが多いようです。
そして、初回のお預かりのときから既にその兆候があったのですが、フィービーちゃんとエマの間でも模倣による学習と思われる行動を見ることができました。
二頭一緒に出掛けた散歩でのことです。
フィービーちゃんとエマの年齢差は約9歳、そして、エマは指示による脚側歩行ができますが、フィービーちゃんは勉強中です。
初回のお預かりの散歩のとき、フィービーちゃんはエマに一生懸命着いて行こうとするような行動を見せていました。
エマはエマで、フィービーちゃんとの距離が開くと追いつくのを待っていました。
今回の散歩では二頭の距離が開くこともほとんどなかったので、脚側歩行の指示は一切出さずにすべてをエマとフィービーちゃんに任せてみました。
すると、二頭は引っ張ることもなく、同じペースで僕の少し前方を歩き続けました。
フィービーちゃんは、エマの動きをきれいにトレースするように真横に付いて歩いていきます。
犬を人間の脚側に付けて歩くためには、多くの時間と労力をトレーニングにつぎ込まないといけないケースも多々あります。
でも、何の指示も出さずとも、フィービーちゃんはエマの真横について歩き続けました。
もしかすると、ヒールウォークのトレーニングは人間が必死にやるよりも、犬に丸投げしたほうがうまくいくのかもしれません(笑)
もし本当に犬が模倣による学習をするのであれば、模倣される側の犬はしっかりとトレーニングされた犬でないと大変なことになります。
人間にとってありがたくない行動を模倣によって学習されてしまうと、その行動を抑制するために少なくない時間と労力をトレーニングに注ぎ込まなければならなくなります。
エマは地面の匂い嗅ぎが大好きな犬なので、ずっと指示なしで歩かせているといつかはこうなります。
でも、これはフィービーちゃんには真似してもらいたくない行動なので、エマにLeave Itコマンドを出してその場から離れさせます。
エマが匂い嗅ぎを止めると、フィービーちゃんも止めてくれます。
フィービーちゃん、素直でいい感じです!
そして、これは更に真似しないでもらいたいのですが…
フィービーちゃん、さすがに植え込みに顔を突っ込むような真似はしませんでした。
安心しました(笑)
もちろんエマにはLeave Itを繰り出します。
犬の模倣による行動の学習については、本当にトレーニングに使えるのかどうかの更なる検証が必要だと思っています。
僕自身は、犬は模倣によって行動を学習すると考えています。
なので、どんな行動をエマに真似されていもいいように、自分自身がエマの良いお手本になれるような行動を心掛けたいと思っています。
そして、エマにはたくさんの犬たちの良いお手本になってもらえれば…そう願っています。
犬の行動は自分の行動の映し鏡…いつもいつも、エマを見ながらそんなことを考えています。
asone : j.takagi